事の発端は1時間ほど前。



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『こちらが佐伯夏海さんだ。志織、挨拶しなさい』


お父さんが心なしか背筋を伸ばして言った。


『はじめまして、志織ちゃん。よろしくね』


そう微笑んであたしを見たのは綺麗な人だった。


『…はじめまして』


するとおばさんがふっと後ろを見て、


『これが息子の――――』


え?“息子”?


そしてあたしも気づいた。

おばさんの後ろに男の子がいることに。