お兄ちゃんができました。




祐希くんに久しぶりに会えることに浮かれていたのもあるけれど、

一番嬉しいのは必然的に大地と話す口実ができたこと。


…………って、

そういえば、あたし今、大地と気まずいんだった…。

勝手にあたしが思ってるだけだろうけど。



――『ぼーっとしてっと、喰われるぞ』

昨日の大地の顔が忘れられなくて、あたしの心臓が跳ねる。



……だめだ。
大地の顔を見ると、どうしても思い出しちゃって、

絶対に顔 合わせられない…。



しょうがない。

お父さんにメールしとこう。


小さくため息をついてポケットの中のスマホを取り出そうとした、

そのとき。



「志織」