「……矢沢?」

学校の下駄箱で靴を履き替えていると、名前を呼ばれた。


声のした方を振り返ると。


「あれ、中西くん」


中西くんは2年の時に同じクラスだった子だ。


「はよ」

「おはよう」


あたしのクラスの下駄箱の後ろにある、隣のクラスの下駄箱で靴をはきかえる中西くん。


早いね。と言おうとして中西くんが肩から下げた大きいビニールバッグが目に入った。



中西くんは確か―――――

「バスケ部?」

「うん。朝練」


「そっか。大変だね」



「お前こそ、早いじゃん」