「アホ面」

「痛っ」


パシッとデコピンされて、あまりの痛さに咄嗟におでこを押さえた。


「なにすんのっ!」

「お前がボケーっとしてっからだよ」



さっきの真剣な表情とはうってかわって、いたずらっ子みたいな笑みをうかべる大地。


「してないし!」

「ま、気を付けろよ」


あたしの反論を受け流すと、くるりと踵を返して大地は部屋に戻ろうとする。


……なんか、あたしからかわれた感じ?


「そんなんだと女の子に嫌われるよ!」


なんだか分かんないけど、悔しくてリビングを出ていこうとする大地の背中にそう叫ぶと、


大地はチラッとこちらを見るといつもの余裕そうな笑みを見せた。


「バーカ、俺はモテるんだよ」


それだけ言うと大地はリビングを出ていった。