お兄ちゃんができました。



手すりからそっと下を見下ろすと、やっぱり大地。

―――と、あれはD組の中山さん?



このまま下りたら大地の告白現場に遭遇しちゃうわけだし…。

……困ったな。


口をへの字に曲げて、考え込んでいると、

数段下にいた由実が止まったままのあたしを気にしてか、振り返った。



「志織?どうしたの?」

「……しーーっ」


慌てて、人差し指を口に当てて、下を確認するけどすでに遅し。


大地と中山さんがこちらを少し見上げていた。