お兄ちゃんができました。



一時間目は移動教室。


何となく椅子から立ち上がる気になれなくて、ボーッと黒板を眺める。


「志織、次移動だよ」


声をかけてきたのは親友の由実。


「う…ん。だるいなあ。次の授業、休もっかな」


「だぁめ。元気でしょ、志織」



はぁ…とため息を吐きながら、のそのそと椅子から立ち上がる。



教室のドアの前でしゃべっている
うちのクラスの一番騒がしいグループ。


そして、その中にはあいつも―――



うっさいなあ、という気持ちを込めてドアの方に目をやると

バチッと大地と目が合う。


その時、大地が片方だけ口角を上げてふ、と笑った。



…なに?