「ぎゃーー!!!」


階段を急いでかけ上がる、あたしの悲鳴が響き渡る。


「なんだよ。うっせーな」


着替え終わったらしく、制服に身を包んだ大地が部屋から顔を覗かせた。



「大地っ、遅刻ーーー!!!」



リビングでふとテレビに目を写したときに画面はしに出ていた、午前8時の文字。


「はあぁ!?」


大地も焦った様子で自分の腕にはめられたシンプルな黒の腕時計に目を落とす。


「やべぇっ、志織っ、行くぞ!!」



「ちょっと、待ってよ!」


行ってきます、の挨拶もそこそこに玄関をあわただしく飛び出すあたしたち。


…大地の部屋でゆっくりしすぎたんだ。


それと同時にさっきまでの大地の部屋でのやり取りがフラッシュバックして、いやな汗が流れた。