「わっ!?だ、だだだ誰!?」




「……え?」








そこにいたのは、一人の小柄な少女だった。



真っ白な肌。
文字通り本当に真っ白で、色のない不健康そうな肌。

肩より少し長めな漆黒の髪に映える、ピンクの朝顔の髪飾り。

こじんまりとした可愛らしい鼻と口。

少し垂れ目がかった一重の目は、真っ直ぐに俺を見つめている。







少女が着ているのは制服だ。
ここの生徒なのは確かである。


旧校舎の図書室に来る人なんて教員くらいしかいないと思っていたから、少しびっくりした。

旧校舎の図書室にも一応本は置いてあるが、その数はとても少ない。
本を読むだけなら本校舎の図書室に行けばいいのに。

なんたってこんな所に生徒が……。




「……あ、驚かしてしまってごめん。俺は、その、そこに置いてある本たちを本校舎に持っていけって頼まれて」


俺はカウンターの上に置かれた数冊の本を指さした。


「えぇ!?この本持っていっちゃうの!?そんなぁ」

「あ、ああ……」




室内は、今が7月だと言うことを忘れてしまうくらいひんやりとしていた。