僕らはずいぶん長いこと、コンビニのレジで立
ち話をしていた。

ちらり、

時計をみると、時刻は3時前を示していた。

たっぷり一時間ほど立ち話をしてしまったみた

いだ。



「ごめん、長話ししちゃった。君は今、コンビニ外山のレジ店員の外山さんなのに。」
 


すると外山さんは、ぱんっと両手を合わせて、

たった今気づいたというようなわかりやすい表

情を浮かべた。

そしてそのまま両手を合わせたまま、何かを考

えているかのように一時停止をした。



ぴたり……。



そのまましばらく待ってみたが、なかなかもどってこない。

たぶん、空想の世界か何かから。



「…………。」



僕は思わず、右手でリモコンを持つような形を作り、そのまま親指でリモコンを押した。



ーピッ……



ナイスタイミング。


外山さんが僕の行動を不審に思ったのか、不思

議そうな表情でこっちを見ている。

つまり僕は、人類初の人間再生に成功したのだ。



「それは……何ですか?」



外山さんが不思議そうな表情を続けて聞く。

僕は一言、


「再生。」


とだけ答える。



「………………。」



少しの間のあと、外山さんには通じたらしく、

くしゃくしゃっと笑った。



「もしかして私、一時停止とかしてましたか??」



と、まだ笑いながら外山さんは聞く。



「うん、ちょっと。」



僕もおかしくなって笑った。