渉くんのことも、守先輩のことも。
気になって仕方がなかった。
……恐るべし、滝野兄弟。
「……着替えなきゃな」
あたしはベッドから立ち上がった。
凹みが少しずつ直っていく。
「もしも、だ」
もしも守先輩が言う通り、明日、渉くんが来てくれたら。
すぐに頭を下げて謝りたい。
ごめんねって。
それで、あたしから離れないでって。
理由はまだ分からないって正直に言おう。
伝えたいことはきちんと言おう。
積もる思いがこんなにあるんだから。
あの日、意地を張ってしまってすごく後悔した。
上手く言えなくて。
なんて言えばいいのか分からずに口から出た言葉が、もっと渉くんを傷つけてしまった。
声が喉を通らなかった。
本当の想いは、渉くんの元まで届かなかった。
だから、君は去って行った。
あたしは止められなかった。


