学校から背を向けるその瞬間。
あたしは微かに、学ランを着た男の子を見つけてしまった。
彼の顔は、驚いているように見えた。
本当に一瞬だったけど、スローモーションに見えた。
渉くん……?
あたしは先輩の手で見えにくいけれど、歩きながら振り向いた。
渉くんだ……
渉くんは悔しそうに顔を歪めると、あたしと反対の方向に歩いて行った。
「あ、まっ……」
「畑」
守先輩の手を振り払って後ろを向いた。
今にも駆け寄りそうだったけど、守先輩に腕を掴まれてしまった。
「は、なしてください……っ」
「嫌。今離したら畑、渉の所に行っちゃうじゃん」
先輩、気づいてたの?
渉くんの存在に気付いていて、わざとあたしにあんなことをしたの……?


