「違う、畑(はた)さんって言って」
あたしの名字だしね。
「えー、それじゃ全国の畑さんに悪いよ」
どういう意味だ、どういう!
「はぁ……もう、ルリちゃんでいいよ」
諦めたあたしは、渉くんに言った。
「よし、ルリちゃん。お願い、してもいい?」
渉くんは、困ったように眉を下げて言ってきた。
「ん?なに」
ってか、もう家入りたいんだけど。
「僕と付き合ってよ」
「……はぁ?バカじゃないの?」
いきなりどうした、小僧。
「いや、これマジな話」
そう言ってくる渉くんの目は本気だった。
「じゃあ、一つ聞くけど……なんで?」
まだ半信半疑のあたしは、渉くんに聞く。


