また悲しくなってきた。
「……そうですか。じゃあ、もう帰りますんで」
「あ、うん。送っていこ……」
「いいです、帰れますから」
「あ、そう……じゃあね」
「はい、さようなら」
あー、めんどくさい。
あたしは立ち上がって歩き出した。
しかしすぐに後ろから声を掛けられたけれど。
「あ、悩んでることがあったらいつでも言っていいからー!」
誰が言うか。
ってか、悩み事を作ってるのあなたです。
……なんか、あたし性格悪くなっちゃってる?
そう思いながら、家へと歩いて行った。
「げ、ハンカチ」
と、気付いたのは、歩いて5分経った時。
「明後日、めんどくさいけど洗って返そうかな」
あたしは紫のハンカチをポケットに入れた。


