「あれ?畑じゃん」
コンクリートの地面は少し熱くて、こぼれ落ちる涙は跡を残していく。
「え……」
低い聞き覚えのある声に目線を上げると、そこには守先輩がいた。
制服姿で、今一番会いたくない人……
なんでこの人は、いつもタイミング良く現れるんだろう。
そして、見事にあたしの心を掻き乱していく。
「え、泣いてる……?どうしたの、失恋でもしちゃった?」
守先輩は少し笑いながらあたしの目の前に来て、ハンカチを出した。
「あ、ありがとうございます……」
「いーえ?」
あたしは、ゆっくりとハンカチを手に取って涙を拭いた。
「……ってか、渉は?いつも一緒だったじゃん」
「…………」
それは、一番聞かれたくなかった。
「……あ、もしかして渉が何かした?」
マズイと言う風に、言ってきた守先輩。
あたしは慌てて頭を振った。


