脱☆年下系男子






「あれ?畑じゃん」




 コンクリートの地面は少し熱くて、こぼれ落ちる涙は跡を残していく。





「え……」


 低い聞き覚えのある声に目線を上げると、そこには守先輩がいた。



 制服姿で、今一番会いたくない人……


 なんでこの人は、いつもタイミング良く現れるんだろう。

 そして、見事にあたしの心を掻き乱していく。




「え、泣いてる……?どうしたの、失恋でもしちゃった?」



 守先輩は少し笑いながらあたしの目の前に来て、ハンカチを出した。



「あ、ありがとうございます……」

「いーえ?」



 あたしは、ゆっくりとハンカチを手に取って涙を拭いた。



「……ってか、渉は?いつも一緒だったじゃん」


「…………」


 それは、一番聞かれたくなかった。



「……あ、もしかして渉が何かした?」



 マズイと言う風に、言ってきた守先輩。


 あたしは慌てて頭を振った。