あたしが……渉くんを、好きに?
なっ、ナイナイナイナイ!!
「なに言ってるんですかー!あり得ないっ、あんなガキなんて……」
天と地がひっくり返ってもあり得ない!!
守先輩は、そんなあたしの反応に驚いていた。
「……一応、俺の弟」
そう、困ったように笑いながら言われ、あたしは慌てて謝った。
「いや、いいんだけど。……ふーん、そっかぁ。俺はてっきり好きなのかと思ったんだけど」
「いえ、絶対あり得ないので」
「……そう、良かった。」
「え?」
良かった?
よ、良かった?
なんで守先輩がそう言うのか、あたしにはどうもさっぱりで。
その意味を考えるとおかしい方向に持って行かれそうだったので、考えるのを止めた。
「……あの、話ってそれだけですか?」
「え、……あー、うん。今のところはね」
「そ、うですか……」
あたしは、もうちょっと話していたかったなって。
さっきの意味深な言葉の先を聞きたかったなって。
わざわざそれだけのために話しかけたなんて、不思議だなって。
残念なような、嬉しいような、そんな複雑な思いを抱えたまま。


