脱☆年下系男子





 あたしが……渉くんを、好きに?


 なっ、ナイナイナイナイ!!



「なに言ってるんですかー!あり得ないっ、あんなガキなんて……」


 天と地がひっくり返ってもあり得ない!!



 守先輩は、そんなあたしの反応に驚いていた。



「……一応、俺の弟」


 そう、困ったように笑いながら言われ、あたしは慌てて謝った。



「いや、いいんだけど。……ふーん、そっかぁ。俺はてっきり好きなのかと思ったんだけど」


「いえ、絶対あり得ないので」


「……そう、良かった。」


「え?」



 良かった?

 よ、良かった?


 なんで守先輩がそう言うのか、あたしにはどうもさっぱりで。


 その意味を考えるとおかしい方向に持って行かれそうだったので、考えるのを止めた。


「……あの、話ってそれだけですか?」


「え、……あー、うん。今のところはね」


「そ、うですか……」



 あたしは、もうちょっと話していたかったなって。


 さっきの意味深な言葉の先を聞きたかったなって。


 わざわざそれだけのために話しかけたなんて、不思議だなって。


 残念なような、嬉しいような、そんな複雑な思いを抱えたまま。