あたしは不思議に思ったけど、無視することなんて出来ないから、少しずつドアに近づいていった。
「あ、ありがとうね。はるちゃん。」
「ううん!じゃあねー♥」
あたしは、あたしを呼んだ女の子にお礼を言うと、手招きをしている守先輩についていった。
しばらく歩いて行くと、守先輩は北階段の前で止まった。
学校には、北のほかに南と西階段がある。
……何故か、東階段がないんだよね。
それが、この学校の七不思議になってたりも……して。
………って、そうじゃなくて!
「あの~……何か用ですか?」
「え、あぁ……ちょっとね」
あぁ、久しぶりに二人きりで喋ってるな……
委員会でこういう風に何度か喋ってたもんな。
守先輩はにこっと柔らかい笑みを浮かべて言った。
「畑ってさ……渉のこと、好きになった?」
「…………は?」
しばしの沈黙の後、あたしは思ったよりも間抜けな声を出した。
あたしが黙っていたのは、固まっていたからで。
守先輩があり得ないことを言っていたからで。


