けれど、他学年の生徒が来るなんて滅多にないから、驚いてしまう。


 しかも、〝特別な先輩〟だから。



 守先輩は、入り口にいる女の子に話しかけた。

 何か聞いているみたい。


女の子の顔はほんのり赤くて。

 少し嫉妬してしまった。



 なんでモテてるんだよ、先輩。


 ……って、そんなこと思っちゃダメなのに。

 先輩の彼女でもないんだから。



 守先輩と女の子は話し終えると、女の子はこっちを見渡し始めた。



 そして、あたしと目が合うと、


「瑠梨ー!呼ばれてるよ」


 なんて、笑顔で言ってきた。



 それは、明らかにあたしの名前で。


 きっと、あたしは……



「瑠梨!守先輩が……」


 和葉は慌てたようにあたしに言ってきた。



「う、ん……」

 守先輩に、呼ばれてる……?



 あたしのこと、フッたじゃん。



 普通、喋ろうなんて思わないよね?


 気まずくなっちゃって、避けるはずなのに。



 なんで、笑顔で手なんて振り始めるの……?