「よし、終わったー!」


 あたしは、ハイスピードで写し終えると、大声で叫んだ。



「ねぇ、和葉ー!本当にありがとね」


 あたしの前の席の椅子を奪い取っていた和葉に、話しかける。


 けれど、和葉はドアの方を見たまんま固まっている。

 あたしの声に気付いていないようだ。



「かーずはっ」


「……なんで」



 和葉にもう一度話しかけると、和葉は小さな声で呟いた。

 やっぱり、あたしの声には気付いていないみたい。



「?」


 あたしは和葉の見ている方を見てみた。



「っ!」



 なんで………



 ドアの所には、誰かを探しているらしい守先輩がいた。



「な、なん」



 守先輩から、目が離せない。


 次第に高ぶる胸の鼓動。

 ただ、驚きながら守先輩を見ていた。


 別に、特別驚くことではないかもしれない。