「和葉ー、宿題見せて……」
時は少し流れて、6月。
梅雨の季節……だけど、そろそろ暑くなる季節。
あたしは、小さなピンチを迎えていた。
「はあ?もしかして、やってきてないの?」
「やってきてたら、見せてなんて言いませんが?」
「なんでそんなに偉そうなのよ」
朝、学校に来てすぐに、和葉にお願いしてみる。
「んもー、はい。」
和葉はあたしの頭にノートを乗せた。
「ありがとっ♪」
一瞬にして気分が良くなったあたしは、ノートを受け取ると急いで自分の席に行った。
「ったくー、なんてずる賢い」
和葉は、ため息をつきながらあたしの席に来た。
渉くんとは、何故かとても仲良くなってしまっていた。
毎日あたしについて来ていた渉くんに、あたしはすっかり慣れてしまった。
そして、一緒にいることが当たり前みたいになってしまった。
守先輩のことは……考えないようにしている。