そして、当たり前ながら断るあたし。
毎日毎日、まるで挨拶の様に交わされる会話。
いくら断っても一歩も引こうとしない渉くんに、今ではもう、あたしはもう諦めて軽くかわすのだ。
そして、渉くんはほっぺたをぷくーって膨らますんだ。
……ま、これも効かないんだけどね。
「ほーら、帰ろう」
あたしはため息を一回つくと、渉くんを引っ張って歩き出そうとする。
けれど渉くんは、意を決したように顔を上げて言う。
「じゃあ、帰る前にここ寄ろう?」
渉くんが指さしたのは、真っ青な空。
奥の方にピンク色のビルが見えるだけだ。
「はあ?なんで、空?」
あたしが聞くと、渉くんは不機嫌そうな顔をした。
「違う!その奥!」
指を押すようにもう一度差す渉くん。
「奥……?」


