脱☆年下系男子







 そして、当たり前ながら断るあたし。



 毎日毎日、まるで挨拶の様に交わされる会話。




 いくら断っても一歩も引こうとしない渉くんに、今ではもう、あたしはもう諦めて軽くかわすのだ。


 そして、渉くんはほっぺたをぷくーって膨らますんだ。



 ……ま、これも効かないんだけどね。





「ほーら、帰ろう」



 あたしはため息を一回つくと、渉くんを引っ張って歩き出そうとする。


 けれど渉くんは、意を決したように顔を上げて言う。



「じゃあ、帰る前にここ寄ろう?」



 渉くんが指さしたのは、真っ青な空。


 奥の方にピンク色のビルが見えるだけだ。



「はあ?なんで、空?」


 あたしが聞くと、渉くんは不機嫌そうな顔をした。



「違う!その奥!」



 指を押すようにもう一度差す渉くん。



「奥……?」