脱☆年下系男子





「はぁ……ルリちゃん、速すぎっ」



 走って走って走りまくって、何分経っただろうか。


 渉くんが疲れたように、あたしの手を払いのけた。


 そのおかげで、あたしはようやく立ち止まった。




「……ご、ごめんっ」


「ったくー、いくら守がいるからって、そんなあからさまにしなくても。」



 少し意地悪に笑いながら、渉くんは言った。



「……そういうわけじゃっ」


「いーや、そうだね。だってルリちゃん、まだ守のこと好きでしょ?」


「…………」



 渉くんの鋭い意見に何も言い返せず、あたしは黙って肯定した。





 ……まだ。


 きっとあたしはまだ、守先輩が好き。



 たまに廊下ですれ違ったり、目が合ったり、笑っている姿を見たり。


 同い年じゃないから教室が近くはないけれど、そういう何気なく会った時に高鳴る胸は、まだ吹っ切れてないことを示してる。


 もしかしたら、恋愛感情なんかじゃなく、その時の気持ちを思い出してドキドキするのかもしれない。


 何にしろ、きっといつか、思い出になっていって。


 あぁ、『恋に恋していた』んだなって。


 いつか笑い話に出来るはずだから。