……渉くんのことだ。


 渉くんはなにも悪くなかったみたいだった。

 悠空ちゃんが言うように、あたし達に巻き込まれていたのだ。


 可哀相よりも、悪いことしたなって気持ちの方が大きい。

 ごめんね、という気持ちでいっぱいだ。


 あたしに平手打ちされ、守先輩にも殴られ、しかもあたしからは無視。


 傷つけたよね、渉くんを。


 だけど、それでも渉くんは、誤解だと、話をしてって言ってた。

 実際、渉くんから何回も電話がかかってきてたし、メールだって来てた。


 なのに、それを無視した。

 彼女なのに、信じてあげられなかった。

 話を聞いてあげられなかった。




「渉くん……」


 あたしは呟いた。


 電話は出来る。


 だから、電話でごめんと言うことが出来るんだけど、あたしはそれじゃダメだと思うんだ。


 ちゃんと会って、目を見て、喋りたい。

 謝りたい。




「お姉ちゃん、見て!山盛り!」


 悠夢はよそった自分のカレーをあたしに見せて笑った。

 あたしも微笑む。


「そんなに食べられるのー?」




 渉くん、今すぐ会いたいよ……。