オムライスでも、オムレツでもなかった。

 カレーを食べていたのだ。


 しかも、1人で。



「ああ!忘れてたー(笑)」


 あたし達は知っている。

 お母さんは少し天然なことを。


 けれど、それはいくらなんでも酷いと思う。



「けど、もう7時なんだから分かるでしょ」


「二人で話してたの!気づかないよ、普通」


 悠夢が怒る。

 というより、拗ねた。



「あら、そう。じゃあ、よそってねー」


 お母さんは食べ終わったのか、食器をキッチンに持って行った。



「あたし、家出る」


 悠夢はそう言いながら、キッチンにあるカレーの元へと歩いて行った。



「うわー、出る気無いじゃん」


 あたしはそう言いながら笑って、キッチンに向かった。




 悠夢との関係は元通り。


 久しぶりに平穏な家庭に戻るからか、お母さんもなんだか嬉しそうだ。




 けど、まだあたしには残ってるものがある。