「悠夢、あのね……聞かせてくれないかな?全部」
あのキスのことをあたしは聞く。
かなり遠回しなのかもしれないけど、悠夢には通じてるはずだ。
「うん……」
悠夢をチラッと見ると、悠夢は雑巾を握りしめ、その雑巾を見ていた。
あたしは再び雑巾に視線を移す。
「まずね、滝野くんは悪くないの。それだけ言っておく」
「……うん」
静かな部屋に、やけに響く悠夢の声。
「あの……ね、あたし、ずっと滝野くんが……」
悠夢は言葉に詰まる。
あたしは次言う言葉をなんとなく察した。
だから、「大丈夫だよ」と言うように、悠夢の肩に手を置いた。
悠夢は、ありがとうと言うと、決意したように、話し出した。
「ずっと、好き……だった」
あたしは泣きそうになる。
姉と好きな人が付き合いだしたと知った時。
初デートの服を一緒に選ぶ時。
そして、偶然デート中に会った時。
悠夢はどんな気持ちだったんだろうか。


