日曜日。


 梅雨明けした7月中旬。

 暑さが増している部屋には、もうクーラーの気配がしている。


 もうすぐ夏休み。


 けれどまだ、なにも解決していない。


 渉くんは毎日あたしの学校に来ている。

 けど、あたしは無視して通り過ぎる。


 だけど、本当は気になって仕方なくて、必ず振り返っているんだ。


 悲しそうに帰って行く背中をいつも見つめていた。


 それで思った。



 渉くんはもう、この学校で有名人。


 あたしにはまだ同情の目があるけど、渉くんにはそんな目がないはずだ。

 息苦しいはずなのに、なんで毎日来れるんだろうか。


 それにも、なにか理由があるのだろうか。





「ピーンポーンッ」


 下から、そんなチャイムの音が聞こえた。


 お母さん……あ、出かけてるんだった。

 お父さんもなんか仕事らしいし……。



 ……面倒臭いな。


 なんて思いながら、階段を下りた。




 悠夢もいるんだけど、悠夢は昔から、誰かが来るって知ってなかったらそういうのは無視するんだ。