やっぱり、悠夢だ。
あたしは返事は返さず、ただドアを見つめた。
「話……聞いて?」
「…………」
聞く勇気ないんだよ、ごめんね。
悠夢の頬には、あたしが打った跡が残っていた。
昨日、あたしが帰って来た時に玄関で座ってた悠夢は、あたしを見ると、立ち上がって笑った。
あたしはそんな悠夢を置いて、自分の部屋に入って行った。
まだ覚えてる。
悠夢の腫れた目を。
崩れそうな笑顔を。
「……じゃあ、あたしは嫌っていいから、滝野くんだけは……嫌わないで」
「……え?」
喋る気なんてなかったけど、驚いてつい答えてしまった。
「何も悪くないの、滝野くんは。お姉ちゃんが思ってるようなことはないの。本当に……」
渉くんと同じようなことを言ってる悠夢。
泣いてるのか、声が震えていて、鼻を啜る音も聞こえた。


