「ルリちゃん、話聞いて……」
そう言った渉くんの声は震えていたし、小さくかった。
あたしは少し驚く。
あたしの知らない渉くんだったから。
あたしが怒っただけで、もう潰れてしまいそうな弱い男の子になるなんて。
あたし、そんな渉くん知らない。
本当は、じっくりと話を聞きたい。
今すぐ抱きしめたい。
抱きしめてほしい。
けれど、そんな勇気ないから。
「嫌。もう来ないでって言ったじゃん。帰って」
「……嫌だ。だってルリちゃん、誤解してる」
渉くんは震える拳にぐっと力を込めて、あたしを見る。
確か、昨日もそんなこと言ってたな。
「……誤解?そんなのしてないよ、キスしてたじゃんか」
「そうだけど……でも、本当に誤解なんだって!ルリちゃんが思ってるようなことはなにも……」
はあ?
この期に及んでそんなこと言うか?普通。
そう思って、信じようとしてる自分を封じ込める。


