「……でも、守先輩はなにも悪くないですから」
「いいや、俺の弟だから……」
「それがなんですか?……あたしと渉くんの問題ですから、本当、守先輩が謝るような、ことはっ……」
あたしの頬に涙が伝う。
あたしは堪えられなくなって、守先輩と三尾先輩から背を向けた。
「畑ちゃん、我慢しなくていいんだよ。泣きたかったら泣けばいい」
三尾先輩の声が聞こえる。
本当に三尾先輩なのか不思議なくらい、優しい声だった。
それに、ルリちゃんって呼んでいたのに、畑ちゃんになってる。
もしかしたら、渉くんがルリちゃんって言ってたのを聞いたのかもしれない。
だから、あえてそう呼んだのかもしれない。
「……だって、畑ちゃんはなにも悪くない。泣くのを、辛いって叫ぶのを、我慢しないといけないなんてことは決められてない。誰にも決められない。」
「逆を言えば、君は我慢しちゃダメなんだ。誰かに変に思われるかもって、気にすんな。誰も、畑ちゃんを責める人はいない。おかしいと笑う人はいない。いたら、俺がぶん殴る」
冗談を入れながらも、本気の三尾先輩の言葉に、あたしのきつく縛った涙腺はすぐに崩壊する。
「だから、泣いていい。強がりなんてさ、たまにでいいんだよ。今は、強がりを捨てちゃっていいんじゃないかな?」
「うっ……」
「俺には分かんないよ。強がりたいのかもしれないけど、ごめん、おれにはそうには見えないんだ。泣きたいようにしか見えないんだ。誰かに助けてって、泣いてるのを知ってほしいって思ってるようにしか見えない。違ったら、ごめんな」


