脱☆年下系男子





 渉くんは申し訳なさそうに言った。


 ほんの少し顔を上げると、あたしは首を横に振った。



「違う、逆に考えることが出来たの。今まで盛り上がっていたから分からなかった、〝本当の好き〟を」




 そしたら分かったの。



「もしもあたしの知らない守先輩だったら?あたしはそれでも、彼を愛せるかって。……あたしは」



 あたしは、本当の守先輩を、あたしが好きじゃない先輩を知ったら。




「きっと、あたしの好きな先輩じゃなかったら愛せなかった」



 でも、それって守先輩を好きってことじゃないよね。


 あたしは、理想の先輩を好きだっただけ。



「本当の守先輩を好きじゃなかったんだよ。あたしは、恋に恋してただけなんだよ。」


「ルリちゃん……」


「それで付き合うとか、無理じゃん……」



 あたしは目に溜まった涙を隠せずに、出してしまった。



「……きっと、守先輩は分かってたんだと思う。だから、フッたんだ。もし付き合えたとしても、あたしは本当の守先輩を知ったら別れてたと思う。」



 あたしが好きだった守先輩は、優しくて大人で。


 その魅力が無くなったら、あたしは好きじゃなくなる。

 守先輩が好きじゃなかったんだ。



 優しくて大人な〝人〟が好きだったんだ。