「だってさ、少し八つ当たりみたいに怒っちゃったから。年上なのに、情けないよね」
本当にごめん、と俯きながら謝った。
「……別に、いいけど」
そう言う渉くんを、顔を上げて見ると、顔を背けていた。
あたしはまた俯くと、話し出す。
「ねぇ、聞いてくれる?」
「……なにを?」
「あたしの、気持ち」
あたしは深呼吸をする。
「あたし、やっぱり何も分かってなかったの」
そう、話したかったのは、守先輩のこと。
「ずっと、優しくて大人な守先輩が好きだったの。どれだけ遠い存在だったとしても、その気持ちは確かだったの」
どれだけ好きかなんて、表せないくらい大きいものだった。
「でも、渉くんに言われた言葉で、違うのかもって思った」
「え?」
「みんな外面ってあるもんね。あたしだってそうだもん。だから、あたしが知っていたのは……」
「ちょっと待って、もし僕のせいでそうなったなら」


