「トンットンットンッ」
あたしは悠夢の部屋をノックした。
返事が返ってこない。
玄関に靴があったから、家に居るのは確実。
他の部屋にいるかなって思ったけど、探しても他の部屋にはいなかった。
だから、ここに悠夢はいる。
けれど、やっぱり。
悠夢からの返事は、何度ノックしても返ってこないんだ。
あの後、あたしは渉くんに謝った。
デートを台無しにしてごめん、って。
渉くんは笑いながら「いいよ、楽しかったし」って言ってくれたけど。
でも、何度も謝った。
それで、悠夢を話をしたかったからアクセサリーショップでデートを終えた。
急いで家に戻ってきて、悠夢の部屋をノックして。
返事がないから、他の部屋見て回った。
でもいなくて。
だから今、この部屋をまたノックする。