「あの、渉くん……っ」
「行こう」
「え?うん……」
渉くんは顔を背けたまま、あたしの手を掴むと歩き出した。
なんか、悲しい。
可愛い、って喜んでくれると思ったのに。
ううん、そう言ってほしかった。
やっぱり……似合わないんだ。
あ、ダメだ。
泣きそう……。
あたしは立ち止まった。
渉くんは驚いたように止まって、あたしを見る。
あたしは下を向いた。
「ルリちゃん……?」
「……っ」
あたしの努力が無駄だった気がした。
あんな悩んで決めた服と、ネックレス。
今持っているバッグは、見つけた時に運命だと思った。
デートに持って行くために見つかった気がした。
だから、持ってきたの。
慎重に頑張ったメイクも。
何度も整えた髪型も。


