「しょ、渉くん……」
あたしは下を向いたまま、渉くんに話しかける。
「なーに?ルリちゃん」
「離して……」
「あれー?さっきまで余裕だったじゃん」
「だだだだって……」
ああヤバい、負けちゃう。
渉くんの思惑にはまっちゃってる……。
渉くんがスタスタ歩くもんだから、止まりたいのに止まれない。
ギュッて強く握られて、あたしの心臓の鼓動が速くなっていく。
「んー?」
渉くん、なんでそんな余裕なわけ……!?
あたしは思い切って、顔を上げて渉くんを見る。
「え、」
渉くんは、いきなりあたしが顔を上げたからか驚いた顔をしていた。
でも、驚いているのはあたしの方だ。
だって、渉くんの顔も真っ赤だから。
「渉くん……」
「いきなり顔上げんなよ、バカ……」
驚いたまま話すと、渉くんは赤い顔をフイッと背けた。
「それは、顔が赤いから?」
と、意地悪してみると、
「は、はあ!?」
って言いながら渉くんはこっちを向いた。


