「じゃあまぁ、邪魔者は失礼しようかな?」
ほんの少し話した後、男の先輩はそう言った。
「おう、じゃあな」
「さ、さようなら」
もう帰っちゃうんだ……。
あたしのことをルリちゃんって呼ぶのはムカつくけど、良い人そうだなと思ったんだ。
「うん。……あ、ルリちゃん、俺の名前知ってる?」
「知るわけないじゃないですか」
「…もっと優しく喋ってよ~」
男の先輩はそう言って笑うと、一言。
「三尾風。よろしくね」
「あ、はい……」
三尾先輩はまたニッコリと微笑み、背中を向け、下駄箱とは反対方向に歩いて行った。
きっと、あたし達に気を遣ってくれたんだろうな。
今度会ったら、あれだな。
「きつい言い方でごめんなさい」って言わなくちゃ。
「さ、行こうか」
「はい、先輩」
あたしと守先輩は、横に並んで下駄箱に向かった。


