あぁ、ムカつくから言い返してやる。


 そう思ったあたしは、渉くんに言った。



「じゃあ、あたしは渉くんの彼女だ」


「……そうだね」



 渉くんは俯いた。


 気になって覗くけれど、すぐにプイッと顔を逸らされた。



 でも、見ちゃったんだ。


 渉くんの真っ赤な顔。




「ふふっ、照れてる」


「う、うるさい、バカ。」


「……んだとーー!」



 公園を出てからあたしの家へと向かう。




 いつもと同じあたし達。


 何ら変わりなく、意地悪な君に振り回されている。

 何ら変わりなく、ガキみたいに意地を張りあっている。

 何ら変わりなく、しょうもないことでケンカしている。


 そして、

 何ら変わりなく、小さな優しさを感じている。


 今も、遠いのにわざわざ送ってくれている渉くんの優しさに、包まれているんだ。