あたしにとって、渉くんはそういう存在だった。
だから、大切だった。
失いたくなかった。
それだけじゃない。
あたしが渉くんの傍に居たかった理由は、もう一つある。
決めつけていたから。思い込んで、本当の気持ちを隠していたから。
気づかなかった…ううん、気付かないフリをしていた。
素直になったら分かる。
ちゃんと認められる。
強がりなんて要らない。
自分の気持ちだけ考えたら分かる。
あたしは、いつだって……。
渉くんは、いつも意地悪で、ガキだった。
でもすっごく優しくて、あたしにいつも向き合ってくれてた。
そんな渉くんのことが、誰よりも大切で。
すごくすごく……
「僕は、信じられないくらい好きなんだ。ルリちゃんが」
ああ、泣いてしまいそう。
嬉しくて、嬉しすぎて。