もしかしたら、目の前に何かあるのかもしれない。
誰かいるのかもしれない。
けれどあたしには、守先輩が邪魔で何も見えない。
「あの、急に止まらないで下さいよ……?」
それだけ先輩は驚いたということなんだろうけど、妙な雰囲気に耐えられなくて、あたしはそんな話をする。
けれど、守先輩はそれでも固まったまんま。
「せ、先輩?どうし……」
守先輩の服を少しつまんで揺らした。
すると、守先輩はやっと我に返ったようにあたしの方を向いた。
「畑、会いたい?」
「え?誰にですか?」
あたしの方に向いたけど、守先輩は自分の先を一切あたしに見せなかった。
あたしは気になって見ようとしたけど、守先輩の体で見えなかったし、何よりも先輩の真剣な顔が「見るな」と言っているみたいだったから、あたしは見なかった。
何となく、気になる。
もしかしたら何もないのかも?と思ったけど、さっきの先輩の顔と今の先輩の真剣な顔から、やっぱり何かあるんだと思った。
でも、一番気になるのは、先輩の言葉。
誰に会うのだろうか?
「……渉に」


