脱☆年下系男子






 もしかしたら、目の前に何かあるのかもしれない。

 誰かいるのかもしれない。



 けれどあたしには、守先輩が邪魔で何も見えない。





「あの、急に止まらないで下さいよ……?」



 それだけ先輩は驚いたということなんだろうけど、妙な雰囲気に耐えられなくて、あたしはそんな話をする。

 けれど、守先輩はそれでも固まったまんま。





「せ、先輩?どうし……」


 守先輩の服を少しつまんで揺らした。

 すると、守先輩はやっと我に返ったようにあたしの方を向いた。



「畑、会いたい?」


「え?誰にですか?」



 あたしの方に向いたけど、守先輩は自分の先を一切あたしに見せなかった。


 あたしは気になって見ようとしたけど、守先輩の体で見えなかったし、何よりも先輩の真剣な顔が「見るな」と言っているみたいだったから、あたしは見なかった。



 何となく、気になる。

 もしかしたら何もないのかも?と思ったけど、さっきの先輩の顔と今の先輩の真剣な顔から、やっぱり何かあるんだと思った。



 でも、一番気になるのは、先輩の言葉。


 誰に会うのだろうか?



「……渉に」