「もうすぐ、校門出るんですけど」
「うん、そうだね」
もうちょっとで校門を出てしまう。
けれど、渉くんは全然見えない。
「来てくれてないのかなぁ……」
「だから、早いんだって。諦めるの」
守先輩は笑いながら言った。
確かにその通りなんだけど、不安で仕方ない。
校門に近づくのと比例して、あたしの胸のドキドキは高まっていく。
それは決して心地よいものではなくて、むしろ悪いドキドキだった。
校門を過ぎて、昨日渉くんがいた所、渉くんの家に向かう方向に歩みを進めた。
「畑……」
「い、いいんです。だって、家行っちゃえばいいんですから」
でも、昨日渉くんがいた所に渉くんは来てなかった。
いいの。
だって、今日はどっちにしろ会えるんだから。
……会うんだから。
でも、とてつもない悲しみがあたしを包み込むんだ。
だって、きっとあたしのこと嫌いになっただろうから。
ここに来てくれなかったってことは、そういうこと。


