トレモロホリディ

カーテンのオーダーを終えた後は、ミナト君の買い物に付き合った。


男の子とゆっくり買い物するって、初めてかもしれない。


以前付き合っていた彼氏は、自分の買い物はあっという間に終わっちゃうし。


私の買い物にゆっくり付き合ってくれたことってなかったもの。


その点ミナト君は女友達との買い物みたいに、商品について色々話しながらゆっくり店内を回れるから楽しいな。


それはいいんだけど、一点だけ落ち着かないことがあった。


人の視線を痛いほどに感じるんだ。


その原因はわかってる。


ミナト君があまりに目立っているからだ。


ミナト君をさんざん見た後、必ずみんな私をジロリと見て行く。


えぇ、えぇ。わかっていますとも。


不自然なんでしょう?


私みたいな女が、ミナト君の隣にいることが。


安心してくださいよ。


恋人じゃありませんから。


じゃあ友達?


それもちょっと違わないかな?


何なんだろうねぇ。


ただの…お隣さん?