トレモロホリディ

「俺も、ちょっとそれは思った…。

初めて付き合う人、初めてキスする人、初めてがぜーんぶ美菜ちゃんなら良かったのにって。

でも、ね。

きっとそれだと、俺と美菜ちゃんは出会えてないんだ。

このタイミングでなきゃ出会えてないし、元彼との過去もあって、今の美菜ちゃんが作られてるんだ。

そんな今の美菜ちゃんが、俺は好きだし。

美菜ちゃんだって、今目の前にいる俺が好きでしょ?

だから、いいんだよ」


そう、か。


そうだよね。


湊君がどんな過去を持っていても、私は今の湊君が好きだもの。


「それにまぁ。

比較対照があるのは、そう悪くないよ。

美菜ちゃんの良さが、よくわかるしね」


そう言って微笑む湊君。


うーん、確かに。


あの人には申し訳ないけど、全てにおいて湊君は元彼より勝っているもの…。