トレモロホリディ

「あーそう言えば…。

美菜ちゃんって、そういうことするの

苦痛なんだっけ…」


そう言って、湊君は私の横にゴロンと仰向けに寝転がった。


確かに…そうだね。


自分からしたいって思ったことは一度もないし。


いいものだって思ったこともない。


嫌悪感っていうか、ただ虚しさだけが残った。


「あの元彼のせいだよなー…」


ポツリ呟いて、湊君が天井をじっと眺めている。


私は身体と顔を湊君に向けた。


軽く息を吐いて、目を細める湊君。


私の視線に気づいたのか、湊君は左手を自分の頭の下に置いて、身体を私に向けた。


湊君の顔からは、さっきまでの高揚感は消えていた。


「ごめんね…」


こんな私で、申し訳ない。


湊君は右手で私の髪を撫でて、ううんと首を横に振った。


「初めての人が…、湊君だったらよかったのにな…」


そうしたらきっと


幸せな気持ちになれただろうに…。