トレモロホリディ

私を担いだまま、玄関のドアを開ける湊君。


その途端、私のスカートの中に風が吹き込み、ふわっと裾が広がった。


ちょっ。


し、下着が見えちゃうーーー!


「み、湊君。あの…っ」


片手でスカートの裾を押さえ、バタバタと足を動かすけれど、


そんな私のことはお構いなしに、湊君は私の部屋のドアの鍵をかけて歩き始める。


こ、こんなところをアパートの住人や、近所の人に見られたら、どうするのーーー?


ひとりで顔を真っ赤にしていたら、湊君は自分の部屋のドアをガチャンと開けた。


あらま。


鍵かけてなかったの?


ぶ、無用心だな。


湊君の部屋に入り、内側から鍵をかける彼。


ようやく降ろしてもらえるのかな?とホッとしていたら。


靴を脱いだ湊君が、そのままズンズンと部屋に入って行った。


ふと床に置かれた100本色えんぴつが目に入り、あっと思ったその直後。


ふわっと背中に柔らかい感触。


ここは…。


湊君のダブルベッドの上だ。


懐かしい匂いがして…。


なんだかウルッとしてしまった。