「ねぇ、壮真君」


「ん?」


「湊君は…、元気かな…?」


俺とは目を合わせずに、美菜ちゃんは控えめに聞いた。


やっぱり。


まだ、気になるよね…?


「うん。

まぁ…、お店じゃいつも通りだよ。

めぐるちゃんと復活して、仲良くやってるんじゃないかなあ?」


アイツ、めぐるちゃんの話とか全然しないから。


実際よくわかんねーけど…。


「そう。元気ならいいんだ…」


ニッと口角を上げて、美菜ちゃんはコーヒーを口にした。


「……大丈夫?」


「え?」


「まだ…、好きでしょ?


湊のこと…」


俺の問いに、美菜ちゃんがうつむいてしまう。


俺と付き合う?なんて言った後だし。


俺には答えづらいだろうけど。


「就職したタイミングが、良かったって思ってる。

今は仕事のことで頭がいっぱいだし。

思い出さずにすんでるよ」


「そうか…」


美菜ちゃんは美菜ちゃんなりに、湊のことを整理しようとしてるってことなのかな。


付き合っていた男女が別れたのとは違って、片想いの失恋だし。


立ち直るのに、そう時間はかからないかもしれない。


新しい恋をするのが、


一番早いんだけどな…。