トレモロホリディ

「それにしても。

ほなみでミナちゃんに会った時、ビックリしたよ。

あ、ティッシュのお隣さんだーって」


「ははは…」


やっぱりティッシュの…で覚えられてたか。


「お隣さんが穂波さんのところで働いてるなんて、すごい偶然。

俺、あこその常連だから」


「どれくらい通ってるの?」


「ん~、もう1年以上にはなるかなあ。

ミナちゃんがここに引っ越して来たのって、穂波さんの店で仕事するからだったんだね」


あ、そう思ってるんだ。


まぁ普通、そう思うよね。


「ううん、そうじゃないんだ」


「え…?」


ミナト君が首を傾げる。


「ミナト君に挨拶に行ったあの日の夜に、初めてほなみに行ってご飯を食べたの。

アルバイトを募集してるみたいだったから、雇ってくださいって穂波さんにお願いしたんだ」


「えっ、じゃあまだ穂波さんと知り合ったばっかりってこと?」


私はコクンと頷いた。