そ、それは…。


めぐるがいなくなって、仕事が手に付かなくなったから。


お前を探すことが出来なくて、どうにか手がかりが欲しくて、藁にも縋る思いで始めた仕事だよ。


それ…、説明しなきゃダメかな…。


「ボーイズバーって、女の子ばかり来るんでしょう?

なんかちょっとイヤだな、そういうの」


「んー。でも相手はお客さんだし、ちゃんと一線引いてるよ」


仕事だって思ってるから、お客さんに特別な感情を持ったことなんて一度もないし…。


「うーん」


めぐるはなんだか納得いかない様子だ。


まぁ、気持ちはわかる。


美容師さんでさえ、お客さんが女性ばかりなのが気に入らないって言う女の子がいるし。


ましてやボーイズバーの店員となると、ホストと同じように思うんだろう。


「お酒飲んで気軽におしゃべりしてるだけで、結構お給料いいんでしょう?

てっとり早く稼ぐにはいいかもしれないけど、ずっとその仕事が続けられるわけじゃないし。

転職を考えた方がいいんじゃないかな。

もっと都内に出て来たら?

近くに住んでくれたら嬉しいな。

そうしたら頻繁に会えるし」


そう言ってめぐるは、チューッとカフェオレを可愛い顔で吸い込んだ。