トレモロホリディ

とりあえずミナト君に部屋に上がってもらって、私は早速準備に取り掛かった。


冷蔵庫から、玉ねぎと玉子と鶏肉を取り出す。


あと一杯作るくらいは余裕で残ってるかな?


玉ねぎをリズミカルに刻む音が、狭いキッチンに響き渡る。


ちらり部屋の方に視線を向けると、ミナト君はちゃぶ台のそばであぐらをかいて座っていて。


組んだ脚に猫ちゃんを乗せてよしよしと頭を撫でていた。


そんな姿もイケメン俳優の写真集の中の一枚みたいに、やけに絵になっている。


私の作る料理を静かに待つミナト君。


そんな彼に料理を作る私。


特に会話はないけれど、


日曜のこんな晴れた日だからか


不思議と嫌な感じはしなくて。


むしろ心地良いと感じる自分がいた。