トレモロホリディ

「お腹…空いてるの?」


少し上目遣いで聞いてみれば。


「ん。

今朝ね、仕事帰りに同じ店の連中とハンバーガー屋に行ったんだ。

それっきり、何も口に入れてない」


ハンバーガー屋さんの朝メニューか。


私もたまに食べたくなる時があるけど。


「あの。

良かったら、食べる?

親子丼」


私の言葉に、ミナト君の顔がみるみる明るくなっていく。


「え、いいの?」


真っ直ぐに見つめる色素の薄いその瞳は、なぜか逸らしたくても逸らせない。


「あ、えと。

材料、まだあるから…」


「食べるっ!

食べたーいっ!

ぜひお願いしますっ」


猫を抱っこしたまま勢いよく頭を下げるミナト君。


その姿を見ていたら、思わずクスッと笑ってしまった。