トレモロホリディ

さっきから、派手な女の子達が次々にお店に入っていく。


何の躊躇もなしに…。


入口付近をウロウロしている私を、みんなが怪訝そうに見ていく。


なに?この地味な女…とでも言いたそうだ。


ドアが開くたび、いらっしゃーいと元気な店員さん達の声がして、楽しそうに笑う女の子達の声がする。


私が入ったって、きっと同じように迎えてもらえるのは充分わかっているのだけど、なんせ勇気がない…。


そうこうしていると、またエレベーターが開いた。


またジロジロ見られたくないので、他の店のドアの方へとさりげなく歩いていると。


「美菜?」


誰かに声をかけられた。


こんなところで声をかけられることにビックリして振り返ると。


「そんなところで何してるの?」


「り、梨香ちゃん!」


なんと、そこに立っていたのは、以前私に湊君がゲイだと言ったあの梨香ちゃんだった。


「湊のバースデーパーティーに来たんでしょ?

お店、そっちじゃないわよ。こっちよ」


「へ?」


や、やった!


まさかの救世主が現れたわ。


心の中で思わずガッツポーズをする。


「ま、迷っちゃって~」


しらじらしく頭を掻いて見せる。


「入ろー」


にっこり笑って誘ってくれる梨香ちゃんが、女神様に見えた。


よっしゃー。


これでお店に入れる~。