トレモロホリディ

湊君は通話を終えると、スマホをそっと充電器の上に置き、はぁとため息をついた。


その横顔はどこか、疲れているような感じがした。


湊君がゆっくりベッドに上がって来る。


寝ているフリ、聞いていなかったフリをしようかと思ったけど…。


私は身体をベッドの内側に向けて、目を開けていた。


「あ…、美菜ちゃん。

起こしちゃった…?」


横になった途端、湊君が言った。


コクリ頷くと、湊の目がきゅっと細くなった。


「ごめんね。

俺が大きな声出したりしたから…」


ううん、と首を横に振る。


もうその前から目が覚めていたし…。


「電話…、

かかってきた…。

めぐるから…」


「うん…」


「わりと大きな事務所と契約出来たらしくて。


やっと会えるよってさ…」


「うん…」



「待っててって言葉は…。



どうやら本当だったらしい…」