トレモロホリディ

そう言って、頭を掻き毟る湊君。


普段穏やかなミナト君が、こんなに怒るなんて…。


それだけ、つらかったんだよね。


それだけ、めぐるちゃんが好きだったんだよね。


連絡がないことを悲しがっていたけど。


いざ本当に連絡が入ったら、


怒りたくなるのも当然だよね。


突然手紙一枚残して消えたんだもの。


会いたいって言われて、


嬉しい気持ちもあるのだろうけど。


だからって、ホイホイ会いに行くなんて。


湊君だって、プライドが許さないよね…。




「泣いてるの…?」



急に声のトーンが変わる湊君。


どうやら、めぐるちゃんが泣いているらしい。


湊君の対応が、自分が思っていたのと随分違っていたのだろう。


「やめてくれよ。今さら謝られたって…」


謝っているのか…。


まぁ、必死になるよね。


湊君に会いたいなら…。


「応援はしてるよ。

遠くからね…。

でも、もう近くで支えたりは出来ない…。

俺に期待しないで。

めぐるならすぐ見つかるよ。

優しい恋人が…」



湊君…。